精神をつよくもつ

なんだか回り道ばかりしてる数学博士志望の自語り

編入体験記(金沢大学 理工学域 数物科学類 数学コース)

 こんにちは。編入の体験記を書こうと思います。まず私の編入の動機はもう数学に取り憑かれてしまったからとしか言いようがないので、進路的な有利不利は知りません。そも体験記には数学出来る人が多い!あと高専の方が多くて大学生の興味分野変化に伴う進路変更のケースは少ない!というわけで私と同じ状況にある人がいたらその人を勇気づけてあげたいなぁということで書きます。

まず私は何者かについて

 受験時の私は関東の私立大学の物理学科に通う大学4年生でした。
 大学2年生のころTwitterで数学科の学生が「位相わからん!w」と騒いでいるのを見て「位相ってなんだ?」と疑問を持ち、その少し後に生協の本屋で見た 小森『集合と位相』が気になって購入。読んでいるうちに抽象的な世界にハマっていき、その途中で 内田『集合と位相』に切り替えて読み始め数学科の標準的な履修範囲まで勉強する。その後ちょっと『線形代数入門』を途中まで読んでから中断して友達と『線形代数の世界』の自主ゼミを始める。その後は解析学の進んだ書籍が読みたかったものの物理学科の数学の授業程度の不十分な解析学の知識ではいけないと思って、丁度そのころ出た『数学のとびら 解析入門』を読む(私ちょっとミーハーなところがあるので新しいものが出たばっかなのはちょうどよかったのかも)。そして他学科履修で常微分方程式の基礎を学び、3年後期で 柴田『ルベーグ積分』に目を通しました。
 4年生に上がり卒研が始まると同時に、物理をそこそこに数学に振りすぎたせいで全く物理が身になってないことに気付く。さらに言えば、私が全く物理に興味がないことにも今更気付く。4月の半ば、もともと大学院で数学専攻に変える予定だったのだが、今年の卒研を死ぬ気で耐えてどうにか院進できたと仮定しても、現時点で 黒田『関数解析』を2章までしか読めてない私が他の修士と肩を並べて議論できるのか……?と気付く。幾何は投げたし、代数も大して分からんし、解析も演習問題解かずに証明だけ追って分かった気になって独学したとか数学なめすぎでは?と思い、ここで3年次編入を決意する。
実は、この編入のために休学しようとしたあたりで面談とか色々あったんですけど、その過程で「まず物理学科を卒業して編入する」ルートがいいんじゃないといろんな人に言われましたが、私にとってもう数学を諦めきれない限りは物理をすることができない心境になってしまったので担当教員の反対を押し切って休学を強行しました。両親が賛成してくれたのはすごく嬉しいですけど、やっぱり教員から「全く賛成できない」とまで言われて流石にちょっと悩みました。
自己評価ですがこの時点で数学科2年生程度(なんなら達してないくらい)の実力だったと思います。

志望校決定と編入の勉強

志望校は1番受験早いのどこかなぁって探したら金沢大学があったので、過去問見てとりあえず受けるかと決定。他はもともと院受けようとした北大、あと基礎論の有名な先生がいる愛媛大の3校に決定。
 編入までの勉強内容は、まず本(後にまとめて書く)で全体的にやり直しと、
・金沢大 R2~R5数学と計算科学コースの過去問
・神戸大 H31~R5数学の過去問
・お茶女 R3~R5数学の過去問
が中心。だいたいこの3つのレベルが自分には同じくらいに感じられたけどどうだろ。お茶女は他の編入記では見たこと無かったけども、なんとなく解いてみたら個人的には思想・難易度ともに近しさを感じました。
 結局編入試験に臨む際は、線形代数は何が聞かれても満点取れるくらいの自信で、微積は少なくとも半分は解けるだろうし解けなかった問題も試験終了後に本を参照すれば理解できるだろうというくらいの自信でした。

面接で聞かれたこと

全然短かったと思います。体感では5, 6分。聞かれたことは以下の通り。
編入試験を受けた理由
・興味のある分野
・筆記試験の出来はどうだったか
・もし受かったらどんな進路を検討しているか
・院試という選択肢は考えたか(たぶんこれは私が4年生だから聞かれたのかな?)
ひとつ重要な点ですが、これは私が数学コースの受験体験記を読んだことが無いので数学コースではそうなのかも分かりませんが、筆記試験の解き直しはありませんでした。

一応使った参考書など

線形代数は三宅さんの『線形代数学 初歩からジョルダン標準形へ』を1P目から必要な範囲まで全部通して読みました。
私はこの本、今まで読んだ線形代数の入門書の中で一番好きかもって思いました。演習もいい分量で、論理の流れが明解かつ心地よいくらいするりと流れていく。他に演習用の本は全くやってません。過去問とこの本の演習問題だけです。

微積はほとんど本読んでません。1番参照したのは編入試験受ける1年前くらいに読んでた『解析入門 数学のとびら』っていう裳華房から出てる本です。その他の微積の本とか参照しながら過去問の解答を丁寧に作る作業が大半でした。

さいごに

思い返せば、そんなにストイックでもなかったし、編入予備校とか行く気なかったし、意外と受かっちゃうんだなあみたいな感じですが、結構当時は不安になるのでがんばってください、ほんとに。実際問題、モチベとか解答作成とか、友達と一緒に頑張れたりすると1番いいのかもしれません。最後に私が編入試験を受けて結果を待っていた時期に書いていた日記の文章を公開して終わろうと思います。これがまっただなかのリアルな感情。

『今現在、面接で併願校を聞かれなかったし、返答も今思い返すと頓珍漢だったかもだし落ちたんじゃないかという不安が募り、一方で筆記は取れてたし受かってるんじゃないかという希望もあり、極めて不安定な精神状態がずっと続いています。編入試験を受験するというのは孤独で、何よりずっと穏やかに辛いです。』

これを読んでいる編入志望のあなたに春が来ますよう祈っています。